忘れられたベンチの“記録”:座るたびにあなたが消える

駅から少し離れた、人通りの少ない公園や、古びた商店街の片隅にある、忘れられたような古いベンチ。

色褪せて、少しひび割れて、座る人もまばらなそのベンチに、あなたは何気なく座った経験はありませんか?

そのベンチには「座った人間の最も大切な記憶を一つ、記録する」という奇妙な特性があるという噂があります。

それは、思い出そのものを奪うわけではありません。しかし、その記憶はベンチに“吸い取られ”、あなたが誰かにその思い出を語ろうとすると、言葉に詰まり、詳細が思い出せなくなる。

まるで、記憶の「鮮度」が落ちるように、そのエピソードの“輝き”だけが失われていくのです。

そして、そのベンチが満杯になると、記録された記憶はランダムな形で、次に座った人間に「予知夢」として見せる。

それは、忘れられた人々の断片的な人生の記録。

もし、そのベンチに座ってしまったら、次に誰かに会う前に、その日に起こった大切な出来事を必ずメモしておきましょう。